ドメイン名の大量登録者の動向

ドメイン名投資家による大規模なドメイン名ポートフォリオの出現

短期間での転売益から、長期間保有による広告収入への移行

投資を目的としてドメインを取得する場合、従来は、転売によって利益を得ることを目的としているケースが中心でした。覚えやすいドメイン(場合によっては有名なブランド名・企業名など)を先に取得し、高値で売却するという手法がその基本です。
しかしながら、近年、広告収入を得る目的でドメインを登録するケースが増加しています。

ビジネスでのインターネット活用やWeb上の様々なマーケットの拡大にともない、インターネット上の広告も急激な成長をとげ、PPC広告※・アフィリエイト※などの仕組みが普及しています。その結果、ドメインを所有していることで収入を得ることが可能となりました。
つまり、トラフィックの多い(ユーザーからのアクセスが多い)ドメインを保有し、広告主のサイトに転送することで広告収入を得ることが、ビジネスとなってきたのです。

1つのドメインで得られる収入はそれほど多くありませんが、大量に保有しポートフォリオを構築することで、莫大な収入を得ることが可能となります。
最近の大規模なドメインポートフォリオは、数万件規模のドメインを保有しているともいわれています。

いまや、短期間での転売によって差益を得るというビジネスから、長期間の保有により広告収入を得るというビジネスにシフトしているといえます。

大量取得の手法

個人投資家から、組織的な大規模ポートフォリオへ

大量取得の代表的な手法として、ドメイン名テイスティングといわれるものがあります。

これは、.com、.netなどのgTLDは、登録者が新規にドメインを登録した後、5日以内にその登録を取り消せば登録料が発生しない制度を利用します。
まず、期限切れのドメインを監視し、ドロップキャッチ※といわれる手法で大量にドメインを取得します。次に、ドメインへのトラフィックを監視し、一定のアクセスが見込めるドメインを選別します。最後に、トラフィックの少ないドメインは登録を取り消し、選別したドメインのみ長期保有します。
これを、システムを使って毎日、大規模に繰り返すことで、大量の保有が可能となります。

また、こうした期限切れドメインを狙うだけでなく、有名なドメイン(トラフィックの多いドメイン)と似ているドメインを取得するという、タイポスクワッティング※という手法も広く使われています。

2007年第1四半期には「.com」と「.net」だけで690万件の新規登録があり、前年比でも急激な伸びを見せていますが、そのうち一定の割合をこれらの大規模所有者が占めていると推測されます。

従来、ドメインを投資対象として取得する個人の投資家が多く、これらの人がドメイナーといわれていましたが、システムを利用した大量取得は個人では行うことが難しく、今後は組織的な投資が中心を占めると予想されます。

  • PPC広告
    ペイ・パー・クリック(Pay Per Click)の略で、ユーザーがクリックした回数に対して広告主が費用を支払う形式のインターネット上の広告のこと。Google社のAdWords(アドワ−ス)広告などが有名。 広告主にとっても実際にクリックされた(=サイトに誘導できた)ものだけが支払の対象となるため、費用対効果は高いと言われる。
  • アフィリエイト
    Webサイトやメールマガジンなどに広告主のサイトへのリンクを張り、そのリンクを経由した閲覧者がサイトで商品を購入した場合などに、広告主から報酬が支払われる成果報酬型の広告手法。 アフィリエイトは本来、提携するという意味であり、広告主の商品やサービスに関連した情報を掲載するWebサイトなどを対象とするのが基本。
  • ドロップキャッチ
    登録されているドメインの期限切れを狙い、新規登録を試みる行為。 新しいドメインに比べ、以前に登録されていたドメインの方がトラフィック(ユーザーのアクセス)が多いと考えれらるため、価値が高い。 最近は更新されなかったドメインのデータベースを構築し、システムを使って「請戻猶予期間※(Redemption Grace Period)」が切れて取得可能となるタイミングで、機械的に大量の登録を行う方法が増加している。
  • タイポスクワッティング
    ユーザーのタイプミスを狙い、有名なWebサイトと類似したドメインを取得し、ユーザーを別のサイトに誘導する手法。 「google→gogle」「yahoo→yafoo」のようにユーザーが誤認しそうな綴りの違いを狙う方法や、「google→gppgle」のように一部をキーボードのとなりの文字と置き換える方法、複数形と単数形の違いなど様々な方法が使われる。 日本語をローマ字表記したドメインの場合、「shi」「si」「ci」などの違いを利用されるケースも多い。 また、「wwwyahoo.com」のように、「www」をつけたドメインも大量に取得されている。 Webサイトの閲覧でURLが直接入力されるケースが1割以上はあるといわれており、その際のタイプミスもかなりの件数にのぼると予想されるため、このような手法にも効果がある。 (上記のドメイン表記は例で、たとえば「wwwyahoo.com」はYahoo! Inc.により保護されています)
  • 請戻猶予期間(Redemption Grace Period)
    gTLDの場合、ドメインが不更新や削除となった後、元の登録者が請戻しできる期間(30日間)が設けられている。 ミスなどによって登録者の意図しない形でドメインが削除されてしまった場合、すぐに第三者に取得されてしまうことを防止し、元の登録者の権利を保護することが目的。