新gTLDの商標保護プログラム
大量の新gTLDが登場するため、申請受付前の検討段階から、新たな商標保護策の必要性が議論されてきました。
その結果、従来からある「UDRP(統一ドメイン名紛争処理方針)」に加えて、 事前に商標権者の保護を図る仕組みとして「TMCH」、事後的に対応する仕組みとして「URS」「PDDRP」などの新しい制度が導入されました。
TMCH (Trademark Clearinghouse):商標情報相互利用システム
商標権者が所有する商標を事前に登録するためのデータベースです。
「TMCH」への登録は有償ですが、新gTLDのレジストリやレジストラ(登録事業者)から共通して利用されるため、商標権者は1回の手続きで済むメリットがあります。
利用者には商標にもとづいて優先登録する期間が設けられ、第三者による登録について警告を受けることができます。
Sunrise期間 (優先登録期間):最低30日間
新gTLDの登録開始にあたり、レジストリは最低30日間の商標権者向けの「Sunrise期間(優先登録期間)」を設けることが義務づけられています。
これまでの優先登録は、取得申請の都度、必要書類として商標登録証の写しなどの情報を提出するのが一般的でしたが、「TMCH」へ商標文字列を登録することにより優先登録に必要な「SMDファイル」が発行され、すべての新gTLDの「Sunrise期間」の申請に利用されます。
- 優先登録期間に新gTLDを取得するためには、「TMCH」への登録が必須となっています。
Trademark Claim Service期間:優先登録後最低60日間
レジストリは優先登録終了から最低60日間の「TM Claim Service」期間を設け、この期間に申請されたドメインは「TMCH」への照会が義務付けられています。
申請されたドメインが「TMCH」に登録されている商標と同一の場合、商標権者、及びドメイン申請者にその旨が通知されます。
これにより、商標権者は第三者によるドメイン申請を把握することができます。
- ただし、第三者による申請を抑止する効力はなく、通知を受けても申請者が取り下げない場合はそのまま登録されます
マークアイは「TMCH」の公認エージェントです。
「TMCH」への登録をご希望の場合はお問い合わせフォームよりお問い合わせください。
URS (Uniform Rapid Suspension):統一早期凍結システム
従来からの紛争処理方針(UDRP)と同じで、第三者による侵害に事後的に対処する仕組みですが、「UDRP」に比べて費用や手続きが簡略化されており、迅速な対応が可能です。
「URS」では申請に対する事務的なチェックの完了後、24時間以内にドメイン名がロックされ、移転や情報変更ができなくなります。
その後の裁定で申請者の主張が認められれば、ドメイン名の利用が「差し止め」られます。
「差し止め」られたドメインを利用したWebサイトへのアクセスは、紛争処理機関のサイトにリダイレクトされます。
ただし、「URS」は一時的な「差し止め」のみが可能で、「UDRP」のように「移転」や「廃止」を求めることはできません。
PDDRP (Trademark Post-Delegation Dispute Resolution Procedure)
「商標権に関する委任後紛争解決手続き」と呼ばれる制度で、運用開始後にレジストリ自身によって商標権を侵害する行為が組織的に行われた場合、 レジストリを相手として申し立てができる仕組みです。
UDRP (Uniform Dispute Resolution Policy):統一ドメイン名紛争処理方針
従来からある、gTLDに関する第三者による侵害に事後的に対処する仕組みで、登録者と権利者の間の紛争に適用される紛争処理方針です。
ドメインの「移転」や「廃止(取り消し)」を求める場合は、「URS」ではなく「UDRP」を利用します。
レジストリによる独自の商標保護制度
新gTLDのレジストリ(ドメインの運用・管理者)が、独自の商標保護制度を設けているケースもあります。